2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550124
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大澤 雅俊 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (00108466)
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Keywords | 水素生成 / 電気分解 / 電極触媒 / 光触媒 / 赤外分光 / 電極表面反応 / 吸着分子 / DFT計算 |
Research Abstract |
エネルギー源として水素の重要性が増している。水の電気分解は水素製造の一つの手段である。電気分解のための電極としてPtが最も活性であるが、より安価な代替電極触媒が求められる。不活性な電極でも、溶液中にある種の有機化合物を加えると水素発生の過電圧が低下することが古くから知られているが、その理由は不明である。そこで、水素が発生している電極表面を表面増強赤外分光で直接観測することにより、分子が触媒する水素発生機構を分子レベルで理解することを目的とした。 (1)これまで報告のあった分子の中で、4,4'-ビピリジンとチオ尿素など含窒素化合物の反応機構を明らかにすることができた。これらに共通する機構は、2電子還元によってN原子の孤立電子対が水からプロトンを引き抜き、水素分子を放出することであった。水素分子を放出した後に元の分子に戻るので、触媒反応サイクルが形成される。この触媒反応サイクルを達成するためには、N原子が溶液側に向いていること、電極表面に適度な強さで吸着すること、溶液は中性もしくはアルカリ性であることなどの条件が必要であること、ならびに置換基の導入によって分子の電子状態を変化させることで過電圧をさらに小さくできることなどが明らかとなった。(2)当初の研究計画を拡張し、以上の反応系を光触媒による水の分解反応に組みこみ、両者のシナジー効果を発揮させること、ならびにナノ金属微粒子のプラズモン励起によって反応を促進することを試みた。まだ実現には至っていないが、この過程で、光触媒中における励起電子のマイクロ秒領域の再結合ダイナミクスの検討、プラズモン励起の異方性と光物性の相関など、今後の発展のための足掛かりを構築することができた。その他、水素発生を促進する金属錯体を電極表面に自己組織化する試みを行っている。
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Research Products
(23 results)