2011 Fiscal Year Annual Research Report
一次元ナノサイズ金属イオン配列の創成と機能に関する研究
Project/Area Number |
21550126
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋山 公男 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10167851)
|
Keywords | 電子スピン / ナノ材料 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本申請研究は、自己組織化により生成するGuanine(G)-4量体を単位とする構造体が作り出す、Template金属イオンの一次元配列の機能について解明すること、および、新規磁性金属イオン配列を創成することを目的として遂行した。特に、これまでの研究で、G-4量体の形成が確認されている塩基配列を持つ合成DNA系と金属イオンを用いて、G-4量体を電子供与体とする光誘起電子移動反応初期過程で生成するラジカル・ラジカル対の電子スピンの動的挙動を解明し、一次元の金属イオン配列効果により発現する特異性について明らかにする。このために、時間分解多周波EPRおよびパルスEPR法と磁場効果を含む過渡吸収法を相補的に用いた。初年度および二年度の研究計画で中心的に進めてきた溶液中および固相系での研究を進め、磁気的パラメータの等方的および異方性を含む項の解析から、構造についての詳細な解析を進め機能との関連について明らかにする研究に展開した。4量体構造の形成条件が確定された系を用いて、電子移動過程で生成するラジカル・ラジカル対の時間分解ESR測定を進めた。しかしながら、観測された信号は、数種の短寿命常磁性種の存在を示唆しており、異なる構造をもつG-4量体が存在するものと推定された。これら種からの寄与の分離を試みたが、依然として満足すべき結果を得ておらず、今後の検討課題として残された。また、この分光手法と相補的な知見を提供する磁気光学効果測定システムの改良とその解析手法についても、従来の解釈を根本的に見直して、その不十分な点を改善するための検討を進めた。さらに、磁性イオンを一次元に配列することを試みているが,自己組織化構造体形成についての確証が得られた系を見出すには至らなかった。
|