2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550127
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
近藤 慎一 山形大学, 理学部, 准教授 (20281503)
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Keywords | アニオン認識 / 水素結合 / シラノール / 分子認識 / 超分子化学 / 蛍光スペクトル |
Research Abstract |
我々は、これまでにシラノール基を有するアニオンレセプター分子を種々合成し、その認識能について基礎的な知見を得ることに成功した。シラノールを有するアニオンレセプターにフルオロフォアを導入することで、より高感度な蛍光スペクトルによってアニオン認識挙動を追跡することが可能となると考え、幾つかの化合物について合成とその性質について検討してきた。昨年度合成したジ(9-アンスリル)シランジオールは酸によって容易に分解してしまうが、アセトニトリル中で光照射によっても分解してしまうことが明らかとなった。そこで今年度、ジ(1-ピレニル)シランジオールを合成した。これは立体障害が少ないことから、これまでに合成したジ(9-アンスリル)シランジオールと比べ安定性が著しく向上し、酸存在下や光照射下でも十分に安定であることを確認した。アセトニトリル中で紫外-可視吸収スペクトルによってアニオンと滴定したところ、酢酸アニオンやリン酸二水素アニオンを添加することで、変化は小さいものの等吸収点を経由したスペクトル変化が観測された。 更に、蛍光スペクトルにおいては、370から420nm付近に現れるピレン由来のモノマー吸収域において、等発光点を経由した大きな蛍光応答が観測された。また450nm付近の長波長域には比較的弱いエキシマー発光と思われる蛍光が現れるが、アニオン添加にともない蛍光発光の増加が観測された。本レセプターは、波長によって蛍光の増減が観測されたことから、複数の波長の蛍光強度の比を用いた評価、すなわちレシオ法によってアニオン濃度の定量的な評価が可能なことが明らかとなった。
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Research Products
(9 results)