2009 Fiscal Year Annual Research Report
クラスター効果に基づくシクロファン多量体の合成および標的ゲストの捕捉と検出
Project/Area Number |
21550136
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
林田 修 Fukuoka University, 理学部, 教授 (20231532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 勢津子 福岡大学, 理学部, 講師 (20078562)
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Keywords | シクロファン / ホストゲスト / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究では、標的ゲスト分子に特異的に極めて強く結合できる機能性人工ホストの開発を目的としている。研究戦略として、生体系でしばしば認められるクラスター効果の概念を取り入れた人工ホストの分子設計を行った。すなわち、ゲスト結合部位となるシクロファンを発散型および鎖状型に連結したシクロファン多量体を分子設計し、その高効率な合成を確立することを目指した。従来の合成法に加えてペプチド合成法を適用した新たな合成スキームを確立することに成功した。また、反応条件の最適化を行うことで保護アミノ酸を導入したシクロファン誘導体の大量合成が可能となり、機能性人工ホストの合成スケールを格段に向上させることができた。今後は、シクロファンを連結する合成において反応条件を更に検討することで、さらなる機能性人工ホストの収率の向上が期待できる。一方、従来の合成法において追加合成した発散型のシクロファン5量体および17量体を用いてゲストに対する捕捉挙動を表面プラズモン共鳴法(SPR)により評価した。具体的にはゲストとしてのピレン誘導体などをセンサーチップ表面に共有結合で固定化し、ホストとの結合ならびに解離に伴うSPRシグナルの応答を追跡した。その結果、シクロファン5量体および17量体のこれらゲストに対する結合の速度定数はシクロファン単量体に比べて数百倍増大することが明らかとなった。一方、解離の速度定数は1/3に減少することもわかった。これらの速度論的解析結果はクラスター効果の機能を解明する上で意義深い。
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Research Products
(3 results)