2010 Fiscal Year Annual Research Report
クラスター効果に基づくシクロファン多量体の合成および標的ゲストの捕捉と検出
Project/Area Number |
21550136
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
林田 修 福岡大学, 理学部, 教授 (20231532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 勢津子 福岡大学, 理学部, 講師 (20078562)
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Keywords | シクロファン / ホストゲスト / 分子認識 |
Research Abstract |
親水性側鎖を導入した水溶性シクロファンは、その疎水性空洞の大きさや形状に適した疎水性のゲストを選択的に取り込むことができる。しかし、単環性の水溶性シクロファンがゲストに示す結合力は一般に弱く不十分であるため、飛躍的な結合力の向上が望まれる。一方、天然の細胞膜レセプターにおいては、レセプター単独のリガンドに対する結合力は弱いものの、数多く寄り集まることで結合力が飛躍的に増大する"クラスター効果"が知られている。本研究では、標的ゲスト分子に極めて強く結合できる人工ホストの構築を目的とした。研究戦略として、生体系でのクラスター効果の概念を取り入れた人工ホストの分子設計を行った。すなわち、ゲスト結合部位となるシクロファンを鎖状型に連結したシクロファン多量体を分子設計し、その高効率な合成を確立することを目指した。今年度は、Fmoc-ペプチド合成法による新規合成スキームを確立することに成功した。具体的には、シクロファン部位を側鎖に導入したFmoc-リジン誘導体を開発し、これをアミノ酸単位としてFmoc-ペプチド合成法によりシクロファン2量体を合成した。シクロファン2量体の蛍光性ゲストに対する結合能を蛍光滴定実験から評価したところ、シクロファン単量体に比べて約15倍の結合定数の増大が認められた。同様なゲストに対する捕捉能の増大は表面プラズモン共鳴法(SPR)からも確認した。すなわち、ゲストとしてのピレン誘導体などをセンサーチップ表面に共有結合で固定化し、ホストとの結合ならびに解離に伴うSPRシグナルの応答を追跡した結果、シクロファン2量体のこれらゲストに対する結合定数はシクロファン単量体に比べて約14倍増大することが明らかとなった。Fmoc-ペプチド合成法を用いた新規合成スキームを用いると、さらにシクロファンの個数を増やしたシクロファン多量体の合成も可能であると期待される。
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Research Products
(4 results)