Research Abstract |
当該年度は,以下の項目で成果を得た。 1.イソチオウロニウム導入型両親媒性ポリチオフェン カチオン性イソチオウロニウム基をペンダント部位に有する両親媒性ポリチオフェンの合成と機能化をおこなった。その成果として,光学活性部位を導入した関連ポリマーは,水系媒質中,ランダムコイル構造をとる。しかし,疎水性アニオン(PF_6^-)を添加すると,吸収スペクトルの長波長シフトが観測され,円偏光二色性スペクトルでは,ポリマーのπ-π*遷移領域に分裂型コットン効果が観測された。これは,イソチオウロニウム部位でのアニオン交換に基づいて疎溶媒効果が働き,一方向巻きに偏ったらせん会合が生じていることを示唆する。アニオンを化学刺激とするトポロジー制御に成功した。他方,両親媒性に基づく局所反応場利用を目的に,塩化金酸の添加による金ナノ結晶化をおこなったところ,反応条件のチューニングにより種々の形状をもつ金ナノクリスタル複合体が得られることを見出した。さらに,得られた無機/有機ハイブリッドに中には,ヨウ素ドープ後半導電体薄膜特性を示すものがあった。 2.含ホウ素動的共有結合性をもつ刺激応答性ソフト粒子の作成 ベンゼン-1,4-ジボロン酸と1,2,4,5-テトラヒドロキシベンゼンがTHF中,ピリジンの共存下で自己組織的なポリマー化が進行し,サブミクロンスケールでの球状集合体を形成することを発見した。その同定は,各種電子顕微鏡観察(FE-SEM,TEM)や粉末X線結晶構造解析などでおこなわれた。当該ソフト粒子は,pHの変化に対して可逆的な応答挙動を示すばかりでなく,糖誘導体の添加に対して選択的な形態変化をおこした。これらの性質は,ボロン酸エステル結合の可逆性に基づいて考察された。
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