2010 Fiscal Year Annual Research Report
水熱合成法を用いた新規異常原子価遷移金属酸化物の合成と物性測定
Project/Area Number |
21550139
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
佐藤 博彦 中央大学, 理工学部, 教授 (90262261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 茂生 中央大学, 理工学部, 助教 (60520012)
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Keywords | 水熱合成法 / 強相関係 / 遷移金属酸化物 / 物質探索 / 結晶構造解析 / 異常原子価 / 磁性 / フラストレーション |
Research Abstract |
前年度に引き続き、水熱合成法による遷移金属を含む酸化物の物質探索を行った。その結果、新しいIr酸化物の合成に成功し、構造解析を進めている。また、不安定原子価ではないが次の三種の新物質の発見に至った。層状物質Na-Ge-Cr-OはCrO_6八面体が辺を共有してできる面の間に、Na, Ge,水分子が挿入された構造を持つことがリートベルト解析で明らかになった。この物質中ではCrは三角格子を形成している。磁化率を測定したところ、スピングラスに特徴的な磁性が観測された。これは幾何学的フラストレーションを反映味していると考えられ、興味深い。Ni-S-O系の新規物質は透明な緑色結晶である。単結晶構造解析の結果、面共有のNiO_6八面体が鎖状構造を形成していることがわかった。さらにそれらの鎖が互いに直交しながら積層している極めてユニークな結晶構造を持つことがわかった。磁性の測定から、低温で反強磁性を示す事も明らかになった。さらに、銅イオン、炭酸イオンを含む新規物質の単結晶の合成に成功した。この物質では三つの銅イオンが正三角形クラスダーを形成している。強磁場における磁化測定の予備実験の結果、この物質では磁化にプラトー的な異常が現れることがわかった。その他、物質探索の過程で偶然得られた量子スピン系Cu_3(OH)_4SO_4や、Cr-jarositeに関して詳細な磁気測定を行い、フラストレーションに由来した興味深い磁気相の出現を明らかにした。それらについては日本物理学会欧文誌に掲載および掲載決定となっている。
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Research Products
(11 results)