2010 Fiscal Year Annual Research Report
ポリペプチドらせんの秩序形成がもたらす複合的な機能物性相関の開発
Project/Area Number |
21550141
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
比江島 俊浩 東京工芸大学, 工学部, 准教授 (30288112)
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Keywords | ポリペプチド / 超分子化学 / 有機EL素子 / らせん磁性 / 高分子構造・物性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ポリペプチドらせんに特有の電気・力学的な特性と側鎖に導入した機能性分子団の電気・光学的特性とのハイブリット化を通して、同一分子内に電気磁気・光学的相互作用を非共役的に結合させた超分子らせん集合体を開拓することにある。その1つが、(1)ポリペプチドらせんを利用した高効率EL材料の開拓である。平成22年度、我々はカルバゾイル基置換型ポリグルタメート(PCELG)の示す高EL効率の起源を明らかにすべくPCELGスピンコート膜のエリプソメトリー測定を行った。その結果、PCELGの屈折率は、製膜溶媒の種類によって膜厚の増加に伴って屈折率が増加するタイプと膜厚を変えても屈折率がほとんど変化しないタイプの2種類に分類されることが明らかとなった。前者が高EL素子群に対応しており、後者は低EL素子群に相当している。PCELG薄膜の屈折率の膜厚依存性の違いは、PCLEG鎖の基板に対する配向特性に違いを反映していることを示唆している。 もう一つは、(2)らせんスピン秩序を有する強誘電性ポリグルタメートの構築と交差相関物性の開拓である。本年度、ポリグルタミン酸の側鎖にエステル結合とアミド結合を介して有機ラジカルTEMPOを導入したPTPOLG及びPTPALGをそれぞれ合成し、紫外可視(UV-Vis)及び円二色性(CD)分光測定に基づく主鎖及び側鎖の立体配座解析と電子スピン共鳴分光(ESR)測定及び超伝導量子干渉素子(SQUID)による磁気特性の解析を行った。非常に興味深いことに、連結部位の違いによってPTPOLGでは液晶が観測されなかったのに対して、PTPALGでは高濃度クロロホルム溶液中でライオトロピック液晶相を発現した。一方、PTPOLGとPTPALGの磁化率はともに2-300Kでキュリー・ワイス則に従う振舞いを示しており、両者のワイス温度(θ)はそれぞれθ=-0.8Kと-1.5Kと見積もられた。これらの結果は、PTPOLG及びPTPALGの側鎖に導入したTEMPOラジカル間に反強磁性的な相互作用が働いていることを示している。
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Research Products
(12 results)