2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポリペプチドらせんの秩序形成がもたらす複合的な機能物性相関の開発
Project/Area Number |
21550141
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
比江島 俊浩 東京工芸大学, 工学部, 准教授 (30288112)
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Keywords | ポリペプチド / 有機EL素子 / 高分子構造・物性 / らせん磁性 / 超分子科学 / ライオトロピック液晶 |
Research Abstract |
カルバゾイル(Cz)基置換型ポリグルタメート(PCELG)は有機EL素子の電荷輸送材料として有望な材料の1つであるが、その一方でEL発光の効率は製膜時に利用する有機溶媒の種類に強く依存する。我々は、キャリアー移動度や励起子の拡散効率に及ぼす側鎖カルバゾイル基の分子運動性の影響を検証するため、PCELG薄膜の誘電率の温度依存性を測定した。その結果、PCELG薄膜の複素誘電率ε'(ω)とε"(ω)のCole-Coleplotsから算出した誘電強度(Δε=ε'(0)-ε'(∞))が製膜時に利用した有機溶媒の種類によって約1.5倍の差があること見出した。今回観測したΔεの溶媒依存性は、PCELG膜における側鎖Cz基の分子運動性(自由体積)が製膜時に利用した溶媒の特性(粘度もしくは誘電率)に強く依存していることを示しており、先に測定したEL効率や屈折率の溶媒依存性と非常に強い相関があることを示している。 有機ラジカルTEMPOをポリグルタミン酸の側鎖にエステル結合とアミド結合を介して導入したPTPOLGとPTPALGは、いずれも固体中で反強磁性的な相互作用が働いていることを見出してきた。平成23年度、我々はPTPOLG及びPTPALGのクロロホルム溶液のESRシグナル強度の温度依存性を測定したところ、ワイス温度(θ)がいずれもほぼθ~0の常磁性的な振る舞いを示すことが明らかとなった。この結果は、PTPOLG並びにPTPALG固体に観測された反強磁性相互作用が隣接するポリマー鎖間のスピン間相互作用に由来していることを示している。我々はさらにシェアストレスによるPTPALG配向膜のESRシグナルの温度依存性を測定し、ESRパラメーターの磁気異方性の検証を行った。その結果、PTPALGの側鎖末端ニトロキシル基の結合軸はヘリックス軸に対してほぼ一定に角度を保持しながらも、温度の低下に伴ってヘリックス軸を中心に法線角方向に回転していることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)