Research Abstract |
第四アンモニウム塩型抗菌剤についても対アニオンを適切に選ぶことで,室温で液体の塩,いわゆるイオン液体となることを見出した。この対イオン置換は,ポリマーに添加できる(10%レベル)・低起泡となるなど第四アンモニウム塩の物性を顕著に変えることにもなる。この知見に基づき,昨年度までプラスチック用可塑剤および抗菌剤として適用できる第四アンモニウみイオン液体型抗菌剤および水系熱媒体に向く同抗菌剤を示すなど,当初の目的に叶う結果を得てきた。 ゆえに,平成23年度は用途開発に努めるとした。これまで試験した第四アンモニウム塩型抗菌剤の対アニオンもまた機能性薬剤であって,その効果の利用を考えるとした。例えば,bis(2-ethylhexyl)phosphate(BEHS^-)はアニオン性の配位子であり,その酸型が希土類の溶媒抽出に用いられてきた。これと抗菌性カチオン,ベンザルコニウム(BA^<14+>)との塩が本研究課題の研究対象の一つであるが,BA14BEHPが赤色発光性Eu(III)錯体の第二配位子として有用であり,その付加によりEu(III)の発光効率が従来の中性配位子付加他体よりも高まることがわかった。この効果はポリマー中においても認められた。以上の結果を学会誌にて報告した。 また,ポリアンモニウム塩ないしはカチオン性ポリマー(ポリアミン含む)は第四アンモニウム塩型抗菌剤ないしはカチオン性界面活性剤を高分子化した形であり,同研究の展開のため,これらの基礎および応用に関して新規知見を得ることは意義深い。当該年度はε-ポリリジンについて酵素安定化剤としての効果を認めるなどの結果を得た。一方,第四アンモニウム塩の新たな対アニオンとしてポリ酸が興味深く,分析化学的なものではあるが,同アニオンに関する研究を行った。
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