2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖-ケイ素複合材料による蛍光消光型鳥インフルエンザウイルス検出薬の開発
Project/Area Number |
21550152
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
幡野 健 Saitama University, 理工学研究科, 准教授 (40332316)
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Keywords | シロール / AIE / 検出薬 / インフルエンザ / ウイルス / 蛍光消光 / 糖鎖 / シアリルラクトース |
Research Abstract |
感染症の場合には予防薬、治療薬とともに感染を迅速かつ精度良く診断することのできる手段の開発も望まれている。現在利用されている主要な検査方法では、検体中の感染症のウイルスや毒素を顕微鏡で直接観察している。そのため、ウイルス・毒素の増菌培養、対象物を選択分離、鑑別など時間のかかる複数の工程が必要となり、検査結果が判明するまでにおよそ4~6日要する。感染症の診断が遅れることにより、鳥インフルインフルエンザウイルスのように感染力の強い感染症の場合には感染者からの感染(二次感染)による被害が拡大し、パンデミック(世界規模での感染症の流行)を惹き起こしかねないため、迅速な感染症診断の手段が求められている。本研究では検体との混合により、瞬時にウイルスの存在を診断できる新薬の開発を目指すものである。 研究計画に基づき本年度は、シアリルラクトースの合成、および新規構造のシロールデンドリマー合成を実施した。シアリルラクトースの合成は、シアル酸とラクトースとの位置選択的・立体選択的グリコシル化反応(糖同士の縮合反応)により行った。シアル酸は、その分子内にカルボキシル基とアミノ基をもつ特殊な単糖であり、他の糖とは反応性がかなり異なり合成的に取扱いが難しいが、報告済みの方法を参考にすることでシアリルラクトースを効率よく合成することができた。一方、発光強度はシロールデンドリマーの凝集体形成に深く関係している。そのため、シロールデンドリマーの構造は検査薬の感度を決定する重要な部分である。3分岐型のシロールデンドリマーを新規に合成し、6分岐型と検出感度を比較したところ、3分岐型が2倍以上も高感度であることが判明した。
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