2011 Fiscal Year Annual Research Report
N-Sアシル基転位反応を基盤とする新規ペプチドライゲーション法の開発
Project/Area Number |
21550155
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川上 徹 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (70273711)
|
Keywords | 蛋白質 / 生体分子 / 有機化学 / 合成化学 / ケミカルライゲーション / ペプチドチオエステル / N-Sアシル基転移反応 / ジケトピペラジン |
Research Abstract |
ペプチドセグメントを縮合するライゲーション法による種々の長鎖ペプチド合成法が報告され,これらには共通の合成ブロックとしてペプチドチオエステルが用いられている.これまでにカルボキシ末端にシテイニルプロリルエステル(CPE)基を有するペプチドが自発的にペプチドチオエステルに変換することを見出している.また,昨年までにエステル基を有さないシステイニルプロリルシステイン(CPC)配列を有するペプチドが酸性条件下で分子内反応により,CPEペプチドと同様にジケトピペラジンチオエステルへ変換されることを見出している. 今年度は,CPC配列を有するペプチドのチオエステル形成反応について,詳細に検討したが,収率の向上,ラセミ化の抑制には至らなかった.しかし,エステル構造を含まない遺伝子にコード可能なアミノ酸配列を有するペプチドから純粋に化学反応のみでペプチドチオエステルが得られることがわかったことは,今後の蛋白質合成法の展開のために大きな一歩である. また,CPE基を改良し,プロリン残基の代わりにN-置換グリシン(Gly)を導入するとチオエステルへの変換効率が格段に向上することが判明した.これはCys-N-置換Gly間の配座が,よりcis構造が安定であるためだと考えられる.また,この骨格では反応性だけではなく,CPE基と比較すると,GlyのN-置換基として種々の構造を導入することが可能であり,これはチオエステル化に伴い脱離しない.今後の課題として,蛋白質に特異的なリガンドを導入することで目的蛋白質に選択的かつ蛋白質上の部位特異的なラベル化反応へ研究開発を進めている.
|
Research Products
(8 results)