2011 Fiscal Year Annual Research Report
南方系薬用植物に含まれるシガテラ毒解毒活性物質の構造と機能に関する研究
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21550161
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
濱田 季之 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 准教授 (40321799)
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Keywords | シガテラ毒解毒活性 / 化学構造 / モンパノキ / ハマゴウ / グンバイヒルガオ / パパイヤ / キダチトウガラシ |
Research Abstract |
1.南方系薬用植物由来のシガテラ毒解毒活性化合物の単離:鹿児島県指宿産グンバイヒルガオの根、奄美大島産パパイヤの雄花、そして、沖縄産キダチトウガラシの実からシガテラ毒解毒活性物質の探索を行った。植物をメタノール抽出した後、ヘキサン層、90%メタノール層、ブタノール層、水層の4つの層に分離した。結果として、グンバイヒルガオとパパイヤにおいては水溶性画分に加え、脂溶性画分にもシガテラ解毒活性が見られた。また、キダチトウガラシにおいては、ヘキサン層、ブタノール層、水層に活性がみられたものの、カプサイシン類が含まれている90%メタノール層は全く活性を示さなかった。活性を示す層については、フラッシュクロマトグラフィー、ゲルろ過、および逆相HPLCにより解毒活性物質を分離精製した。得られた化合物は、NMR法を用いて構造解析し、ステロール2種、イリドイド配糖体3種を含む合計10種類の化合物の化学構造を決定した。イリドイド配糖体は、シガテラ解毒活性を示すが、効果(作用機序)として浸透圧効果による細胞内の余分な水分排出を行い、一時的にはシガテラ中毒症状の緩和には有効であるが、イオンチャンネルおよびそれに結合したシガトキシンには直接は影響を与えておらず、シガテラ中毒の根本的な治癒には使えないと考える。 2.これまでの研究のまとめ:上記の3種類の薬用植物と前年度までに研究を進めていたモンパノキとハマゴウを含め、南日本に自生する5種類の南方系薬用植物についてシガテラ解毒活性物質を探索してきた。その結果、解毒活性をもつ糖質、配糖体、脂肪酸関連化合物を数種単離した。本研究結果から、薬用植物のシガテラへの効果は、浸透圧効果による一時的にはシガテラ中毒症状の緩和と考えられるが、引き続き、シガテラの特効薬開発を目指した研究を進める。
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