2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550166
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
松井 淳 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 教授 (10264954)
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Keywords | 生体材料 / 環境 / 分子認識 / パーフルオロオクタン酸 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
環境中や生体内への蓄積が懸念されている含フッ素界面活性剤パーフルオロオクタン酸(PFOA)を検出するセンサーを構築することを目的として研究を行った。PFOAを選択的に捕捉する分子認識素子には、モレキュラーインプリント高分子を用いた。モレキュラーインプリント高分子は、含フッ素モノマー(アクリル酸ペンタデカフルオロオクチルなど)、アクリル酸、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)などを用いて合成し、標的分子PFOAに対する結合能と、結合に応じて収縮する性質をもたせた。この挙動は、静止画像の比較によって確認するとともに、モレキュラーインプリント高分子のナノコンポジット化を図り、分光学的手法によって検出することもあわせて検討した。PFOAインプリント高分子の重合は直径5mmのガラスチューブ内で行い、得られた高分子ロッドを切断してディスク状とし、十分な洗浄後、溶媒、温度、分析対象等に対する変化を観測した。その結果、メタノール中において直径が合成時の約160%に膨潤し、PFOAの添加量に応じて、最大約20%の直径の減少が見られた。また、直径約5nmのメルカプトウンデカン酸修飾金ナノ粒子を重合系に加えて合成したモレキュラーインプリントナノコンポジットを用いて、分光光度計においてPFOAに対する応答を確認したところ、プラズモン吸収帯のレッドシフトが確認され、本ナノコンポジットはPFOAオプティカルセンサーのプローブ素子として使用できる可能性が示唆された。比較のため、含フッ素モノマーを使用せずに合成した高分子について同様の試験を行ったところ、メタノール中ではほとんど膨潤および収縮挙動を示さなかった。詳細な役割については未検討であるが、前述のPFOA応答性には、含フッ素モノマーを使用することによって獲得されたオルガノゲルとしての性質が寄与しているものと考えられる。
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Research Products
(6 results)