2010 Fiscal Year Annual Research Report
ガスデポジション法によるリチウム二次電池用ケイ素-合金コンポジット厚膜電極の創製
Project/Area Number |
21550172
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
坂口 裕樹 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (00202086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薄井 洋行 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (60423240)
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Keywords | 二次電池 / リチウム電池 / 負極材料 / 合金 / ガスデポジション / ケイ素 / コンポジット / 厚膜 |
Research Abstract |
ケイ素は,現在実用化されている炭素材料よりも大きな充放電容量を持つ反面サイクル寿命が乏しい.本研究では,ケイ素を,容量は小さいものの非常に優れたサイクル安定性を示す遷移金属シリサイドとコンポジット厚膜化することにより,それぞれの長所を併せ持った電気化学的特性を有する電極の創製を試みた.種々の遷移金属シリサイド(MSi_2:M=La,V,Ni)について調査したところLaSi_2/Si電極がもっとも優れた性能を示したが,その要因を他のシリサイドと比較検討することにより考察した.種々の遷移金属シリサイドとSiとのコンポジット電極のサイクル数にともなう放電容量(Li脱離)の推移を見てみると,Li挿入量が多いNiSi_2ではサイクル安定性においてSi単独に劣り,Li挿入量の少ないVSi_2ではサイクル安定性は改善したが容量の面で不十分であった.これはLi挿入量が多いNiSi_2では大きな体積変化により活物質の滑落が起こりやすく,他方Li挿入量の少ないVSi_2ではLi拡散パスとして機能しにくいためと推察している.したがって,LaSi_2/Siが最も良い性能を示したのは,NiSi_2とVSi_2の中間の適度なLi挿入量を有するためと考えられる.計算で求められた形成エネルギー(ΔE_f)において,LaSi_2はVSi_2とNiSi_2の中間に位置し,その序列は充放電容量から見積もられるLi挿入量のそれと一致した.これらのことより適度なLi挿入量を示すシリサイドを用いることが,優れた性能を有するMSi_2/Siコンポジット電極の創製において重要であることが示唆された.
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