2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子電線として機能する新しい概念に基づいたソフトマテリアルの創製
Project/Area Number |
21550173
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山口 勲 Shimane University, 総合理工学部, 准教授 (00272708)
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Keywords | π共役高分子 / ピペラジニウム観 / 重合 / 空間的相互作用 / オリゴマー / ポリマー / 異性化 |
Research Abstract |
N-(2,4-ジニトロフェニル)-4-アリルピリジニウムクロリド(1)を、置換基(Ar)をもつピリジン誘導体と1-クロロ-2,4-ジニトロベンゼンとの反応により合成した。1とピペラジン類との重合反応により、ピペラジニウム環が共役トリエンでリンクされた構造を単位とするポリマーを合成した。また、1とピペラジン類との反応のおいて、ピペリジンもしくはピペラジン誘導体を存在させることで生長を抑制し、両末端にピペリジン環もしくはピペラジン誘導体を持つオリゴマーを合成した。このオリゴマーの分子鎖長は、2とピペラジン誘導体の仕込み比により制御可能であることがわかった。合成したオリゴマー及びポリマーとモデル化合物の構造は、IR, NMR, 元素分析などにより決定した。また、ポリマーの分子量はGPCにより、オリゴマーの分子鎖長は^1H NMRスペクトルの積分値やFAB-MSやTOF-MS測定により算出した。紫外可視吸収スペクトルから、得られたポリマー及びオリゴマーは、ピペラジニウム環の二つの窒素原子上の電子の空間的相互作用により、高分子鎖に沿って共役系が拡張していることを明らかにした。さらに、ポリマー及びオリゴマー中のピペラジニウム環は、溶液中で舟形からいす型へと自発的に異性化し、これに伴い共役長が減少することも分かった。また、得られたポリマー及びオリゴマーは、電気化学的酸化を受けることが分かった。
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