2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子電線として機能する新しい概念に基づいたソフトマテリアルの創製
Project/Area Number |
21550173
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山口 勲 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (00272708)
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Keywords | π共役高分子 / ピペラジニウム環 / 重合 / 空間的相互作用 / CDスペクトル / らせん構造 / 異性化 |
Research Abstract |
N-(2,4-ジニトロフェニル)-4-アリルピリジニウムクロリド(1)を、置換基(Ar)をもつピリジン誘導体と1-クロロ-2,4-ジニトロベンゼンとの反応により合成した。1とR-(-)-あるいはS-(+)-2-メチルピペラジンとの重合反応により、キラル2-メチルピペラジニウム環が共役トリエンでリンクされた構造を単位とするポリマーを合成した。合成したポリマーの構造は、IR,NMR,元素分析などにより決定した。ポリマーの分子量はGPCにより決定した。紫外可視吸収スペクトルから、得られたポリマーは、2-メチルピペラジニウム環の二つの窒素原子上の電子の空間的相互作用により、高分子鎖に沿って共役系が拡張していることがわかった。得られたポリマー中の2-メチルピペラジニウム環は、溶液中で舟形からいす形へと自発的に異性化し、これに伴い共役長が減少することも分かった。また、R-(-)-あるいはS-(+)-2-メチルピペラジニウム環をもつポリマーのCDスペクトルは、それぞれ正と負のコットン効果を示したことから、両ポリマーが互いに逆向きのらせん構造を形成していることがわかった。さらに、2-メチルピペラジニウム環が舟形からいす形へと異性化するにつれて、らせんがほどけることもわかった。
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