2010 Fiscal Year Annual Research Report
フレキシブル酸化亜鉛色素増感太陽電池用インドリン色素の精密設計と評価
Project/Area Number |
21550180
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松居 正樹 岐阜大学, 工学部, 教授 (60108058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 司 岐阜大学, 工学研究科, 准教授 (90273127)
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Keywords | 色素増感太陽電池 / 増感剤 / インドリン色素 / 酸化亜鉛 |
Research Abstract |
D149と呼ばれるインドリン色素のエチルエステルのX線結晶構造解析を行った。色素の発色部位に対して、シクロペンタン部位がかぶさり、H会合体の形成を抑制しやすい形をとっていることがわかった。 インドリン色素は有機色素として良好な変換効率を示す。このインドリン色素の更なる性能向上のために、D205型のダブルロダニンインドリン色素のインドリン環の窒素上に2-アルキルオキシフェニル基を導入することによって、増感性能への向上を目指した。アルキルオキシ基には、メチルオキシ、ブチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ、およびオクタデカオキシ基を用いた。紫外・可視吸収スペクトルは、543-547nmに最大吸収波長を示した。これら色素の酸化電位は、0.35から0.37V vs Fc/Fc^+、E_<ox>-E_<0-0>準位は-1.78から-1.76Vで、酸化亜鉛に対して増感剤として作用することが確認された。変換効率は、アルキル基が長くなるにつれて、3.26から3.69%へと順に大きくなった。その原因は、電流値(J_<sc>)の増加によるものであった。IPCEスペクトルでは、これら色素の最大IPCEは530nm付近で66から69%であった。アルキル基が長くなるにつれて、480nm付近での増感が、大きくなることによって、J_<sc>が増加していた。酸化亜鉛上の色素の480nm付近の紫外・可視吸収スペクトは、アルキル基が長くなるにつれて、ブロードになっていた。DFT計算では、インドリンを含む色素部位と2-アルキルオキシフェニル基との二面体角は54.7から55.5°と計算され、大きな差はなかった。これらのことから、アルコキシ基が長鎖になるにつれて、アルキル部位が立体障害基として働き、インドリン色素が酸化亜鉛上でH会合体を形成することを抑制すると考察された。
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