2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550182
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
近藤 行成 東京理科大学, 工学部, 准教授 (70277276)
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Keywords | 金色 / 結晶 / J会合体 / アゾベンゼン |
Research Abstract |
本研究では、あるアゾベンゼン誘導体(CH_3)2_N(CH_2)_2O-φ-N=N-φ-O(CH_2)_2N(CH_3)_2(φ=p-フェニレン)(DN-azo)が金色光沢を示す結晶を形成することを見出した。しかし、この結晶は乾燥条件下に1日置くことで光沢が失われた。 この結晶の構造解析を進める過程で、新たにDN-azoと類似した構造の化合物(CH_3)2_CH(CH_2)_2O-φ-N=N-φ-O(CH_2)_2CH(CH_3)_2(DC-azo)を合成したところ、DC-azoも金色光沢結晶を形成することを発見した。DC-azoは良溶媒にアセトン、貧溶媒に水を用いて結晶化させると、金色光沢のあるフィルム状結晶となった。結晶をろ紙上に集め、このサンプルの正反射率を測定したところ、可視光に対し最大で21%と高い値を示した。この高い正反射率を生みだす要因を探るため、AFMを用いて結晶表面の中心線平均粗さ(Ra)を測定すると、Ra=0.1nmと、結晶は非常に滑らかな表面をもつことが分かった。また、SEM観察から、目視で確認できるDC-azoフィルム状結晶1枚は、実際には数~十数μmの厚みを持った非常に薄い薄膜結晶の積層体であることが分かった。結晶表面の滑らかさや薄膜結晶の積層構造が、正反射率の向上に寄与していると考えられる。DC-azo結晶のFT-IRスペクトルには、OH基に由来する吸収が見られず、DN-azo結晶の場合と異なり、結晶中に結晶水は存在しなかった。またDC-azo結晶は、70゜Cの高温条件下に1週間放置しても、その光沢を失わなかった。 また、本研究では、上記のアゾベンゼン誘導体以外に2種類の低分子量有機化合物が金色光沢結晶を形成することを明らかにした。
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Research Products
(7 results)