2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550188
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
柴田 正実 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (40115316)
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Keywords | 電析 / 金属ガラス / ガラス転移温度 / 結晶化温度 |
Research Abstract |
金属ガラスのうち基礎的知見を得るための研究モデルとしてPd系金属ガラスについて、また、燃料電池作動環境において耐食性の高いことを明らかにしたZr系金属ガラスに対象を絞って研究を進めてきた。Pd系金属ガラスについては、前年度電析PdNiP金属ガラスとバルク金属ガラスの熱挙動が異なることが分かったので、今年度は電析条件と熱処理の影響について調べた。 DSC測定結果より、電析で作製したPd_<44>Ni_<38>P_<18>金属ガラスのガラス転移温度は298℃、結晶化温度は373℃であることがわかった。310℃から350℃の条件で30分間熱処理を行ったPd_<44>Ni_<38>P_<18>金属ガラスをXRD測定した。熱処理を行っていないPd_<44>Ni_<38>P_<18>金属ガラスでは、2θ=30~50°の範囲にアモルファス構造の特徴であるブロードなピークが確認できた。一方、過冷却液体領域内の温度である330℃で30分間、熱処理を行うと、2θ=30~50°の範囲に結晶化に伴うピークが見られた。また、熱処理温度を350℃にすると、ピーク強度が高くなり、Pd、Pd_5P_2、Ni_3P、Ni_2Pd_2Pの結晶が生成されることが分かった。330℃で10分から120分の条件で熱処理を行ったPd_<44>Ni_<38>P_<18>金属ガラスをXRD測定した。330℃で20分間、熱処理を行うと41°に結晶化に伴うピークが見られ、熱処理時間を30分と長くすることでPd_5P_2の結晶化が進んでおり、さらに長くするとPd、Ni_3P、Ni_2Pd_2P結晶が確認できた。これらの結晶はバルクPd-Ni-P金属ガラスの熱処理で報告されている結晶と同様であった。本研究より電析で作製したPd_<44>Ni_<38>P_<18>金属ガラスは330℃、10分間の熱処理では結晶化していないことが確認できた。
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