2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射光X線回折によるリチウム挿入過程のカーボンナノチューブバンドル構造の精密解析
Project/Area Number |
21550189
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
川崎 晋司 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40241294)
|
Keywords | リチウムイオン二次電池 / カーボンナノチューブ / フラーレン / 放射光 |
Research Abstract |
課題遂行のために必要となる放射光X線回折実験用電気化学セルの開発を進めた。これと並行して、リチウム挿入時のカーボンナノチューブの構造変化を理解するため、ナノチューブ電極電位変化に伴いイオン吸着がどのように起こるのかを調べた。 (1)放射光X線回折実験用電気化学セルの開発(TiO2(B)相の充放電時の構造変化) 高容量・高出力電極材料として期待されるTiO2(B)相を合成し電極を作成した。これを開発を進めているダイヤモンド窓を有した充放電セルに入れ、対極をリチウム金属とするテストセルを用意した。このセルをつくばKEKのBL-18Cのビームライン上にセットした。ポータブルの充放電制御装置をビームラインハッチ内に持ち込み、充放電を行いながら回折線の測定を行った。この実験によりTiO2(B)相の充放電時の構造変化を初めて回折実験により捕らえることに成功した。リチウムイオン挿入に伴う構造変化を明瞭に把握できた。 (2)カーボンナノチューブ電極電位変化とイオン吸着の関係 ナノチューブ電極へのイオン吸着を調べるために、構造を制御したナノチューブを用い各種の電解液中でサイクリックボルタンメトリー、充放電測定を行った。サイクリックボルタンメトリー実験において挿引速度を変化させると閉端チューブにおいてはボルタモグラムが矩形を維持したままであったのに対し、開端チューブではいくつかの電解液において高速挿引時に矩形から紡錘形への変化が観測された。これはチューブ内部へのイオン拡散に時間を要するためであると考えられる。
|