2011 Fiscal Year Annual Research Report
TiO_2表面の可視光励起キャリアーによる反応素過程のESR追跡
Project/Area Number |
21550190
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
駒口 健治 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80291483)
|
Keywords | 二酸化チタン / 電子スピン共鳴法 / 光増感反応 / 可視光誘起電子移動 / 電荷移動錯体 |
Research Abstract |
1-ナフトールを吸着したTiO_2スラリー系のESRスペクトルの可視光応答を詳しく調べるため、ESK光応答の照射光依存性および拡散反射UV-Vis-NIRスペクトルの測定、TiO_2の前処理の影響の調査を行った。結果を以下にまとめる。 1.TiO_2表面に吸着した1-ナフトールに由来する常磁性種として、昨年報告したNaph^.(I)(捕捉ホール)に加えて別の種類が生成していることが分かった(Naph^.(II))。Naph^.(II)のg値はNaph^.(I)と等しい(g=2.000)が、線形は全く異なり、線幅約0.7mTの1本線からなる。Naph^.(II)は赤色外光照射により、Naph^.(I)に非可逆的に転換することが示唆された。 2.Ti^<3+>の可視光応答性は、TiO_2の前処理条件に大きく依存することが分かった。3種類の異なる条件(未処理、大気下またはO_2雰囲気化で300℃1時間加熱処理)で比較した結果、大気下で熱処型を行った系でTi^<3+>の光応答性は最も高く、未処理の系が最も低かった。また、本系への可視光照射で生成したTi^<3+>には近赤外光に対する応答性が異なる成分が2つ以上含まれていることが示唆された。 3.ナフトール系に加えて、1-および2-ナフトエ酸を吸着させたTiO_2のスラリー系においても、分子自身が可視光吸収特性を有する2-アントラセンカルボン酸の系と同様に、可視光照射によりTiO_2中にTi^<3+>が生成し、可視光応答を示すことをESR法で確認した。 本研究では、可視光領域に光吸収帯を有しない比較的小さいπ共役系分子(アンカー:-OHまたは-COOH)をTiO_2に吸着させると、光増感作用を示すことをESR法により明らかにした。本系は、TiO_2中での捕捉電子の光応答と拡散挙動を調査可能なモデル系として、また、電荷移動錯体の光電変換特性を示す単純な系として大変興味深い。
|
Research Products
(2 results)