2009 Fiscal Year Annual Research Report
低圧水素の選択的回収と水素同位体分離のためのカーボンアロイ開発
Project/Area Number |
21550195
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
阿久沢 昇 Tokyo National College of Technology, 物質工学科, 教授 (70042702)
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Keywords | 水素 / 低圧水素回収 / 水素同位体分離 / カーボンアロイ / ナノスペース |
Research Abstract |
多層カーボンナノチューブ(以下MWCNTと略)と石油コークスから調製した結晶性の異なる数種類の炭素及び膨張化グラファイトシートにルビジウム(Rb)とカリウム(K)をドーピングしてRbC24、KC10、KC12の組成を有する化合物を合成した。これらの化合物による水素吸収アイソサームを77Kで決定した。膨張化グラファイトシートから合成したRbC24は低圧領域で多量の水素を吸収することができ、例えば1kPa(~10^<-2>気圧)の水素に対して1gのRbC24で10mgまで吸収することができることが確認された。これに対してMWCNTから合成したRbC24ではその4割程度の吸収能であった。また、水素吸蔵合金であるPdではほとんど吸収できないことが判明し、低圧水素回収材として高結晶性膨張化グラファイトシートから合成したRbC24が有望であることが示された。 KC10及びKC12による77Kでの水素(重水素)吸収アイソサームを決定した。これらの吸収アイソサームから水素同位体分離係数を算出した。水素同位体分離係数は比較的低結晶性カーボンから合成したKC10やKC12で大きな値(8~17)を示した。これに対してMWCNTから合成したものではモレキュラーシーブなどの値と同様に3程度の値であった。興味深いことに炭素から合成したKC10やKC12の場合には水素吸収アイソサームがラングミュア式で近似できるのに対して、MWCNTから合成したKC10やKC12ではラングミュアプロットは直線とならなかった。これについてはMWCNTの有する得意な同心円状組織が大きく関与しているものと推定される。さらにラマン分光結果は両者の構造的特徴を顕著に表しており、カリウムとカーボン層との相互作用が異なっていると考えられた。これについては今後さらに詳細に検討する予定である。
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Research Products
(2 results)