2010 Fiscal Year Annual Research Report
低圧水素の選択的回収と水素同位体分離のためのカーボンアロイ開発
Project/Area Number |
21550195
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
阿久沢 昇 東京工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (70042702)
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Keywords | 水素 / 低圧水素回収 / 水素同位体分離 / カーボンアロイ / ナノスペース |
Research Abstract |
前年度までの研究で低結晶性炭素材料を用いてカリウムとのカーボンアロイを調製しその同位体分離能を検討したところ大きな分離係数が得られることが判明した。そこで今年度は炭素材料の結晶性が水素吸着挙動および同位体分離挙動に及ぼす影響を明らかにするために、熱処理温度の異なる炭素材料を新たに調製した。具体的には1350℃、1600℃、1700℃熱処理炭素材料を国内の研究機関および企業に依頼して入手した。この3試料と昨年度から使用していた1500℃、2000℃、2600℃でそれぞれ熱処理した試料の合計7試料を出発物質として用いてカリウムとのカーボンアロイを合成した。 KC_12の組成を有するカーボンアロイについて、水素・重水素吸着等温線を77Kにて決定したところ、水素吸着量は熱処理温度1500℃の炭素材料を用いた場合に最大を示したのに対して、重水素吸着量は熱処理温度1700℃の炭素材料を用いた場合が最大であるという結果が得られた。これはナノスペースの吸着ポテンシャルがホスト炭素材料の熱処理温度に依存して変化し、水素分子と重水素分子では吸着に最適な吸着ポテンシャルに差があることを示している。同位体分離係数の試算値は熱処理温度が1500℃~2000℃でほぼ同じ値(α≒9)と高い値を示した。 X線回折測定によって熱処理温度1700℃の炭素から調製されたKC_12はステージ1.5という特徴的な構造を有することが確認され、この構造が特異な水素吸着挙動を示す原因であると推定された。
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Research Products
(2 results)