2009 Fiscal Year Annual Research Report
共有結合型層状無機/有機複合体を利用した異種色素共存固体ナノ二次元場の構築
Project/Area Number |
21550196
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
藤井 和子 National Institute for Materials Science, ナノスケール物質萌芽ラボ, 主任研究員 (90343871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 秀夫 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノスケール物質萌芽ラボ, 主任研究員 (70343861)
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Keywords | エネルギー移動 / 有機 / 無機複合体 / 層状・層間化合物 / 異種色素共存体 / ナノ二次元空間 |
Research Abstract |
異なる機能性色素が、ナノオーダーの二次元空間に共存した異種色素共存固体材料の創製を目指して本課題に挑戦した。機能性色素間でエネルギー移動等の反応が固体材料中で起こる可能性があるためである。本年度は、異種色素共存系の構築や、エネルギー移動が起こる固体ナノ光化学反応場の探索などを行った。 共有結合型層状ケイ酸塩/クマリン複合体(ホスト複合体)の層間に、第2の色素(シアニン等)の挿入を試みた。シアニンは、ホスト複合体100gに対して1mmolの割合まで容易に挿入され、層ケイ酸塩の層間の固体二次元ナノ空間にクマリン/シアニン共存系が構築された。クマリン部分をケイ酸塩の層面に固定化することで、従来、難題であったsegregationやデインターカレーションが克服できた。インターカレーション方法を工夫することで、さらに100倍量のシアニンの挿入が可能となることも明らかにした。 分光蛍光光度計を用いた測定の結果、クマリン/シアニン共存系中で、クマリン、シアニン双方が発光できることが示された。さらに驚くべきことに、クマリンの吸収位置である320nmで励起しても、シアニンの発光が観測された。クマリンの発光スペクトルとシアニンの吸収スペクトルは重なり、クマリンからシアニンへのエネルギー移動が可能であることも示された。蛍光の量子収率の測定結果から、シアニン量の増大に伴いクマリンの発光の量子収率が低くなることが明らかになり、構築した固体ナノ光化学反応場内で励起されたクマリンからシアニンへエネルギー移動が起こっていることが示された。 人工光合成への展開等の観点から異種色素間の距離や配向と光化学反応の関係に、最近大いに注目が集まっているが、固体中での異種色素共存系の構築は容易ではない。本年度の成果は、固体中での光化学反応場の構築の一つの解答であり、波及効果も大いに期待できる。
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