2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550198
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
渡瀬 星児 Osaka Municipal Technical Research Institute, 電子材料研究部, 研究員 (60416336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松川 公洋 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 電子材料研究部, 研究員 (90416321)
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Keywords | 金錯体 / りん光 / ハイブリッド / 薄膜材料 / 配位化合物 / シルセスキオキサン / ゾルゲル法 / 固体発光材料 |
Research Abstract |
d^<10>の閉殻な電子構造を有する1価の金は遷移金属の中で最も大きな相対論効果を有し、これによって増強されたスピン-軌道相互作用に基づく強い可視光りん光発光を示すことから近年注目を集めている。一般に金錯体は加工性に乏しく、それ自身で薄膜を形成することが困難であるが、ハイブリッド化という手法を用いて発光特性を損なうことなく金錯体の薄膜化することが可能となれば、様々なタイプのエネルギー変換材料としての応用展開が期待できる。そこで、本年度は分子内にゾルゲル反応により3次元ネットワークを構築することが可能なアルコキシシリル基と、金と容易に配位結合を形成することができる3級ホスフィンを有するジフェニルホスフィノエチルトリエトキシシラン(DPTES)を用いて、金を発光中心とする配位結合型ハイブリッド発光材料の作製について検討した。酸および水の存在下でDPTESを加水分解・重縮合することにより3級ホスフィンを有するシルセスキオキサンを合成し、さらに配位結合を利用して金錯体化を行った。得られたハイブリッドの溶液を用いてガラス基板上にスピンコートし、加熱乾燥処理を行うことで無色透明なハイブリッド薄膜を得た。FE-SEMおよびXRDによりこの薄膜は極めて平坦で緻密な表面をもつ均一なアモルファス薄膜であることを確認した。得られた薄膜は励起スペクトルでは287nmにAu5d→Au6Pの金属中心での遷移に帰属されるピークを与え、また、507nmに極大を持つ発光スペクトルを与えた。ストークスシフトは約15000cm^<-1>と大きく、また、発光寿命は9.0μsと長いことから、この薄膜からの発光はりん光であることがわかった。薄膜の発光量子効率は8.5%と高い値であった。以上に示すように、高効率りん光発光性ゴールドハイブリッド薄膜を作製することに成功した。
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Research Products
(8 results)