2010 Fiscal Year Annual Research Report
N結合糖鎖による生体高分子ゲルのゲル化調節機構の研究
Project/Area Number |
21550200
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
窪田 健二 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40153332)
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Keywords | 高分子ゲル / フィブリノゲン / N結合糖鎖 / αC鎖 / フラグメントーX / ラテラル凝集 |
Research Abstract |
22年度は、N結合糖鎖と相互作用すると考えられるαC鎖に着目し、Fbg分解酵素プラスミンによるαC鎖を切除したフラグメント-Xの調製とその凝集特性の解析と、糖鎖の加水分解酵素によりN結合糖鎖が逐次切除されたFbgの凝集特性の解析を当初の目標として、研究を進めてきた。後者については、加水分解酵素ガラクトシダーゼによるN結合糖鎖の非還元末端から2つ目のガラクトース(Gal)の切除効率が悪く、Gal切除による凝集促進効果については足踏みしているが、あらたに酵素を用意し、この問題をクリアすべく現在検討している。一方、前者のフラグメント-Xの研究、ならびに糖鎖全体を除去したものについての研究からは、大きな成果が得られた。具体的には、プラスミン処理により調製した、αC鎖が完全に除去され、Bβ1-42の切除割合の異なる試料についての研究により、(1)D領域と相互作用することにより、Bβ鎖N末部がフィブリノゲンのラテラル凝集にとって必須の領域であること、(2)αCドメインはラテラル凝集への移行を媒介・促進する因子であること、(3)N結合糖鎖はαC鎖、Bβ鎖N末端領域双方のリリースに抑制的に関与することによりラテラル凝集への移行を調節していることを裏付ける結果が得られた。また、糖鎖全体を除去、ならびに非還元末端のシアル酸のみを除去したフィブリノゲンをごく僅かに添加することによる協同的なフィブリン凝集の顕著な亢進という新規な結果が得られたことにより、(4)N結合糖鎖がラテラル凝集の積極約な調節因子として働いていること、(5)非還元末端のシアル酸がその重要な単位となっていることが示された。これらの成果は多くの学会でも発表し、また国際会議の招待講演にも選ばれ発表した。これらの成果についての原著論文もすでに3報がアクセプトされている。
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Research Products
(17 results)