2011 Fiscal Year Annual Research Report
高強度繊維及び複合材料の軸方向圧縮破壊メカニズムの解明
Project/Area Number |
21550202
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
塩谷 正俊 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (10196363)
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Keywords | 炭素繊維 / 高強度繊維 / 圧縮強度 / 複合材料 |
Research Abstract |
炭素繊維や高強度高分子繊維などの高強度・高弾性率・低密度繊維は複合材料として広く用いられるようになったが,いずれも引張強度に比べて圧縮強度が低いという欠点をもつ。これらの繊維の圧縮強度を高めることができれば,さらに広範な分野への用途展開が可能になり,省エネルギー・省資源化や二酸化炭素排出量削減により一層大きく貢献すると期待される。本研究では,そのために必要な高強度繊維及び複合材料の圧縮破壊メカニズムを実験的及び解析的手法によって明らかにした。 炭素繊維などの単繊維の軸方向圧縮強度を測定するためには,数10ミクロン以下の試長で圧縮試験を行うことが必要である。本研究ではこのような試験ができる圧縮試験装置を開発して,炭素繊維や各種高強度高分子繊維の軸方向圧縮強度を測定した。また,圧縮強度を支配する構造の要因を明らかにするために,放射光小角X線散乱によって炭素繊維中のボイドを詳細に検討した。高強度高分子繊維については,圧縮強度との関連が予想されるもののこれまで定量的な評価がなされていなかった繊維内部のフィプリル問せん断強度を測定する手法を開発した。 炭素繊維中のボイドのサイズと圧縮強度の関係から,炭素網面がボイドに隣接している領域で座屈することに起因して炭素繊維の軸方向圧縮破壊が起こることを明らかにした。また,高強度高分子繊維ではフィブリル間せん断強度が低い繊維は軸方向圧縮強度が低いことから,フィブリル間のはく離をともないながらフィブリルが座屈することに起因して繊維の軸方向圧縮破壊が起こることを明らかにした。種々のモデルに基づいて繊維単独の圧縮強度と複合材料の圧縮の関係について検討した。
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