2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゲスト分子の高秩序配向性フィルム作製を目指した立体規則性ポリマーの特性解明
Project/Area Number |
21550206
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
板垣 秀幸 Shizuoka University, 教育学部, 教授 (10159824)
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Keywords | 結晶成長 / 構造・機能材料 / 高分子構造・物性 / ナノ材料 / 光物性 / シンジオタクチックポリスチレン / フィルム角度依存性 / 偏光蛍光 |
Research Abstract |
本年度は特に3つの大きな成果を得た。(1)シンジオタクチックポリスチレン(SPS)と溶媒との相互作用を明確にしていくために、アルキル鎖の長さの異なるn-アルキルベンゼンを溶媒とするSPSの溶液化を行い、ゲル化の有無・SEMによる組織観察・DSCによる相図作成・WAXSとSAXS測定を行った。プロピル鎖まではSPSはファイバー状のゲルを作製するが、アルキル鎖が長くなるにつれて組織も球晶型やラメラ型となり、凝集したSPSポリマー鎖間の自由体積に溶媒が入り込んでポリマー・溶媒分子化合物を形成できるかどうかがゲル形成の大きな要因であることを突きとめた。(2)SPSクロロホルムゲル中に、1,4-dimethylnaphthalene(14DMNP)・1,5-dimethylnaphthalene(15DMNP)を一定量加え、SPS濃度を変化させたときの蛍光異方性比の変化を調べ、これらの分子がSPSポリマー鎖間にどのように固定されるかを調べ、(1)と同様にSPS鎖間の自由体積情報を得るとともに、ゲル中の14DMNPや15DMNPの存在様式が、そのままSPSとの共結晶(インターカレート型(SPS/14DMNP)、包接型(SPS/15DMNP))フィルムに反映していることを発見した。この事実は、SPS鎖間の自由体積は大きな要因だが、そのサイズだけがゲスト分子の導入を決定するのではなく、ゲスト分子同士の相互作用が共結晶の構造に影響することを示している。(3)インターカレート型SPS/14DMNP共結晶がフィルム全体に高次に配向したフィルムについて、14DMNP偏光蛍光強度のフィルムセット角度分布を測定する方法でゲスト分子14DMNPが共結晶中でどのような立体的な配置を取っているかを決定した。インターカレート型SPS/14DMNP共結晶のゲスト分子の配置まで確定したのはこの研究が初めてである。
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