2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550207
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
猪股 克弘 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80232578)
|
Keywords | 形状記憶能 / 絡み合い / 高分子物性 / 枝分かれ高分子 / グラフト共重合体 / 架橋 / レオロジー / 側鎖 |
Research Abstract |
本研究は、枝分かれ構造を有する高分子が、その絡み合い特性により発現する形状記憶能について、分子構造とレオロジー特性、更に形状記憶特性との関連性について、分子構造論的に検討を行うことを目的としている。平成22年度は、様々な枝分かれ構造を有するポリエチレンオキシド(br-PEO)の調製と粘弾性特性について検討した。また、枝分かれ鎖の絡み合いによる影響をより詳しく調べるために、グラフト共重合体であるポリメタクリル酸メチル-graft-ポリエチレングリコール(PMMA-g-PEG)あるいはポリアクリル酸メチル-graft-PEG(PMAc-g-PEG)に化学架橋を導入し、その形状記憶能について評価した。 br-PEOでは、主鎖における最隣接側鎖間の分子量M_Aと側鎖の分子量M_Bの異なる試料を調製し、溶融状態での動的粘弾性測定を行ったところ、M_A=2,000、M_B=750の試料においてのみ特異的に、貯蔵弾性率が損失弾性率を全測定周波数範囲で上回るゴム状平坦域を示すことが分かった。側鎖がより疎あるいは密に導入された試料では、測定範囲では流動域に達していた。これらの結果から、側鎖が疎な試料ではその影響が顕著ではなく、また密な試料では側鎖による立体障害により主鎖同士の絡み合いが阻害されることが示唆された。 化学架橋型グラフト共重合体では、わずかな化学架橋の導入によっても、ともに100%近い形状回復率を示し、絡み合いによる物理架橋型に比べて優れた形状記憶能を示すことが明らかになった。さらに、グラフトしたPEG鎖は、PMMA-g-PEGでは系のガラス転移温度の制御、PMAc-g-PEGでは結晶化による形状記憶効果の発現のといった役割を果たすことが分かった。
|
Research Products
(5 results)