2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 憲治 Hokkaido University, 電子科学研究所, 講師 (50360946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海住 英生 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (70396323)
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Keywords | スピントロニクス / 輸送理論 / 非平衡グリーン関数 / 物性理論 / スピン・軌道相互作用 / Beyond CMOS |
Research Abstract |
当該年度では、左右の電極に強磁性金属薄膜を用い、その金属薄膜のエッジとエッジを対向させた形状を持つ新規なデバイスであるスピン量子十字構造デバイスなるものを考案し、その特性を考察した。アンダーソンハミルトニアンを用いて、スピン量子十字構造デバイスに対して、理論、実験の両面から研究した。具体的には、理論においては、非平衡グリーン関数を用いて、両方の電極の磁化がコリニアである場合とノンコリニアである場合に関して、その磁化の極角と方位角の両方を考慮して、両電極に挟まれた分子において、スピンがフリップする場合とフリップしない場合におけるスピン伝導の一般式を得ることに成功した。その結果、スピンがフリップする場合には、挟まれた分子の自己エネルギーの非対角項は方位角の依存性を持つことがわかり、一方、対角項は、依存性を持たないことが判明した。そして、自己エネルギーは方位角依存性を持つのだが、スピン伝導の電流・電圧公式を求めると、方位角の依存性はキャンセルされ、最終的に、両電極の磁化の内積で決まる極角にしか依存しないことも判明した。また、電極と分子との結合が弱い時に、電流・電圧特性を計算すると、室温において、分子のエネルギー準位において、高いON/OFF比をもつステップ状のI-V特性になる事が判明した。また、結合が強い時には、オーミックなI-V特性になることも分かった。そして、これらを実験的に、強磁性金属であるNiを用いて、検証したところ、確かに、強結合時には、オーミックな特性が得られ、計算との良い一致が確認出来た。この事実は、今回得られたスピン伝導の一般式がデバイス設計に有効であることの証明であり、また、この新規なスピン量子十字構造デバイスが、Beyond CMOSの候補になりうることの証であると考えられる。
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Research Products
(11 results)