2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高倉 洋礼 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (30284483)
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Keywords | 結晶工学 / 解析・評価 / 結晶成長 / 金属物性 |
Research Abstract |
構造複雑系物質のひとつの典型である合金系準結晶とその近似結晶の原子構造を電子密度分布レベルで解明し、非周期長距離秩序形成のメカニズムと構造安定性の起源についての知見を得ることを目的に研究を行なった。本年度は、主としてAl-Cr-Cu系において正十角形準結晶と関連近似結晶のsolution-growth法による結晶育成を試みた。その結果、1.2nm周期をもつ正10角形準結晶の3/2-2/1斜方晶近似結晶のミリメートルサイズの単結晶を再現性よく育成できる条件を得た。組成A180Cr4Cu16の溶融液体からのセルフフラックス法による結晶成長によって、5角形板状の3/2-2/1斜方晶近似結晶が、柱状のζ相結晶と共に成長する。この近似結晶は、過去において単結晶構造解析がなされていない高次近似結晶である。空間群はAmm2(No.38)、格子定数はa=1.260nm,b=3.284nm,およびc=2.389nmである。単結晶X線構造解析の結果、a軸に垂直な原子面が6層積み重なった構造であることが判明した。a軸投影構造は一辺が0.66nmの6角形と星形のタイリングで表される。直径0.48nmの5角形柱状原子クラスタが、中心をタイリングの頂点と一致して配列した構造をしている。遷移金属元素であるCrとCuがタイリングの頂点位置と辺上の2つの位置に配置する構造となっている。この3/2-2/1近似結晶構造は、1.2nm周期をもつ正10角形準結晶の構造解明にとって重要である。その他に、1.6nm周期の正10角形準結晶に関連したAl-Cu-Rh斜方晶近似結晶を、同様にセルフフラックス法育成をもちいて育成に成功した。YbCd正20面体準結晶を3元系に拡張したYb12Mg52Cd36準結晶の低密度消去法による位相回復にもとづく電子密度解析からYbとMeがケミカルオーダーした構造であることの知見を得た。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] 準結晶の構造2012
Author(s)
高倉洋礼
Organizer
日本物理学会第67回年次大会
Place of Presentation
関西学院大学西宮上ヶ原キャンパス、西宮市
Year and Date
2012-03-26
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