2009 Fiscal Year Annual Research Report
X線回折逆格子マップ測定によるドームふじ氷床コアの氷結晶の組織と構造の研究
Project/Area Number |
21560004
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀 彰 Kitami Institute of Technology, 工学部, 准教授 (60280856)
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Keywords | 氷 / 氷床コア / X線回折 / 逆格子マップ / ロッキングカーブ / 格子定数 / 結晶組織 / 転位密度 |
Research Abstract |
南極氷床は数10万年の長い年月をかけて流動しており,氷床コアを構成する氷は,その流動の過程で塑性変形を受けた特殊な氷である。従って,実験室で作製された氷(実験室氷)とは異なる性質を有する可能性がある。本研究では,X線回折法による測定によりこのような氷の構造の特徴の解明を目的として、X線回折法による種々の測定を行った。具体的には格子定数の測定、ロッキング・カーブの測定とその両者の同時測定に相当する逆格子マップ測定を行った。 今年度は以前から行っている格子定数測定の結果を追加実験を行った。深さ900mから3025mまで300m毎の氷試料について格子定数を測定した。南極氷床の氷も通常の氷と同じ六方晶で、氷の六角形の面内の格子定数a、とそれに垂直な方向の格子定数cがある。今回、両者について深さ依存性を調べた。格子定数aについては深さの増加とともに増加し、cについては逆に減少するという傾向が見られた。南極氷床の氷については浅い氷では結晶のc軸方位がランダムに分布しているが、深くになるにつれ変形してc軸方位がコア軸と呼ばれる鉛直方向に揃っていく現象が知られている。上記の実験結果は、深い氷でc軸方向に圧縮応力を受けて格子定数が減少するという機構で説明される。深さ1376mの試料の逆格子マップ測定では、試料の回転方向であるω方向に広がったプロファイルが得られたが、底面に近い2975mの試料では広がりは見られなかった。また、格子定数方向に広がりは見られなかった。このことは、塑性変形時導入された転位がω方向の広がりに寄与しているが格子定数の伸び(縮み)には寄与していないことを示す。
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Research Products
(1 results)