2011 Fiscal Year Annual Research Report
X線回折逆格子マップ測定によるドームふじ氷床コアの氷結晶の組織と構造の研究
Project/Area Number |
21560004
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀 彰 北見工業大学, 工学部, 准教授 (60280856)
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Keywords | 氷 / 氷床コア / X線回折 / 逆格子マップ / ロッキングカーブ / 格子定数 / 結晶組織 / 転位密度 |
Research Abstract |
極地氷床コアの研究により過去100万年スケールの地球の気候・環境変動の研究が行われている。極地氷床コアの氷は、それ自身が数10万年の長い年月におよぶ氷床の流動の過程で塑性変形を受けている特殊な氷である。従って、実験室で作製した氷とは異なる特徴を有する可能性がある。本研究では,種々のX線回折測定により、南極ドームふじ基地で採取された氷の構造の特徴を明らかにすることを目的とする。 前年度に続いて南極ドームふじ氷床コアの氷に対して、深さ577mから3025mまでほぼ500m毎に、ロッキング・カーブの測定、格子定数測定に加え、それらの同時測定に相当する逆格子マップの測定を行った。特に今年度は、氷結晶の粒径が小さい浅い試料(深さ577mと975m)の測定を集中して行った。最も浅い577mについて、格子定数はa軸は1000m以深と有意な差はなく、全体として著しい深さ依存性は見られなかった。c軸については、1000m以深では深さとともに減少しているが、この深さ577mの試料については実験室で作製した氷試料と有意な差は見られなかった。 ロッキング・カーブの幅は逆格子マップ測定で格子面間隔のズレが見られなかったことか、従来通り、から、転位による者と考えられる。転位密度が深さの増大とともに減少する傾向はVbstokコアの場合と同じで、アニーリング(焼鈍)の効果による転位の消滅が優勢であったためと考えられる。なお、グリーランドで掘削されたNEEMコアの深さ約2350mの氷試料について同様の測定を行ったところ、ロッキング・カーブの幅がほぼ同じ深さのドームふじコアの氷よりもやや大きかったが、これは南極より温暖なグリーンランドの気候の下で氷床流動が促進されたことが原因である可能性が考えられるが、より多くの深さの試料に対する測定を行って判断する必要がある。
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Research Products
(1 results)