2010 Fiscal Year Annual Research Report
混晶化合物半導体における電子正孔生成消滅過程の研究
Project/Area Number |
21560017
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
篠塚 雄三 和歌山大学, システム工学部, 教授 (30144918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 将人 和歌山大学, システム工学部, 助教 (70452539)
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Keywords | 化合物半導体 / 混晶 / 量子井戸 / 発光素子 / 半導体レーザー / 欠陥反応 / 再結合 / 信頼性 |
Research Abstract |
本研究は、混晶化合物半導体におけるキャリヤの生成・消滅過程(光吸収と発光および非発光再結合)を対象に、モデル理論と第一原理計算の協力によって包括的な理論研究を行い、窒化物混晶半導体での未解決の3つの謎(バンドの大きな垂れ下がり、発光始状態の起源、低い非輻射過程)の解明に取り組む。2年度目(平成22年度)の成果は以下の通りである。 A_<1-x>A^*B型の化合物混晶において対角的な乱れがある場合、ポテンシャルエネルギーε_Aとε_<A*>の相対位置がεBと比べてどこに位置するかによって、1)バンドギャップの組成依存性において単調な変化をする混晶と2)大きく湾曲しバンドギャップがゼロになることもある混晶の2つに分けられることを理論的に示した。これらについての結果は2010年秋の応物学会等において発表した。 典型的な格子欠陥(置換型不純物、空格子、アンチサイト欠陥など)において、禁制帯中の中程に位置する深い準位は欠陥まわりの格子変位と強く結びつくことが多く、欠陥増殖・生成反応の反応中心として働くことが多い。これら欠陥においてキャリヤ捕獲による荷電状態変化が引き起こす過渡的格子振動のダイナミクスのシミュレーションを行った。半導体発光素子の信頼性確保において重要となっているこの再結合促進欠陥反応の機構に関する今回の結果とこれまでの研究成果の取りまとめを行った。シュプリンガー社から2012年発行予定の図書(上田修、S ピアートン編集)に掲載予定である。 なお、2011年3月の大震災の影響で春の応物学会が中止になったが、その参加旅費に計上していた分の予算を繰り越して、同年秋の学会の参加旅費に使用した(小田:資料収集調査を実施)。
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