2009 Fiscal Year Annual Research Report
高分子フタロシアニンを用いた袋小路のないホール輸送路を持つ有機薄膜太陽電池の開発
Project/Area Number |
21560018
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
広光 一郎 Shimane University, 総合理工学部, 教授 (40199138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半田 真 島根大学, 総合理工学部, 教授 (70208700)
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Keywords | 太陽電池 / 分子性固体 / 有機半導体 / 薄膜 / 高分子 / フタロシアニン |
Research Abstract |
本研究は鎖状高分子フタロシアニンAlPcFの積層軸が電極(ITO)面に対して立った配向を実現することにより,有機薄膜太陽電池の発電効率を向上させることを目的としている。研究に取りかかった初期の段階でAlPcFの完全な配向制御は予想以上に難しいことがわかった。そこで,まずは通常の低分子フタロシアニンの配向制御技術を修得して,その後でAlPcFの配向制御を行うことにした。低分子フタロシアニンの配向制御についてはITO基板とフタロシアニン膜の間にペンタセン薄膜を挿むという方法が内藤らによって報告されており,我々はまず内藤らの結果の追試を行った上で,さらに高い配向度を得ることを目指した。試みたのはフタロシアニンを真空蒸着する時の基板温度の最適化,基板の疎水性処理,基板面の平滑化の3つであり,特に基板面の平滑化が配向度に大きな影響を与えることがわかった。平滑化はITO基板表面をプラスチック消しゴムでラビングすることで行った。1万回までラビングを行ってみたがラビング回数を増やせば増やすほど高い配向度が得られた。1万回ラビングの場合にITO上のフタロシアニンとしては過去のどの報告よりも高い配向度が得られた。こうして得られた高配向膜を用いてショットキー障壁型太陽電池を作製したが,予想に反して配向度が低い場合の方が発電効率が高かった。この結果は低配向膜を用いた場合の方が膜間の界面抵抗が小さいことを示唆している。来年度は今年度得た技術を参考にして本来の目的である高分子フタロシアニンの配向制御を行い,配向度が太陽電池特性に与える影響を調べる。
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Research Products
(2 results)