2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560024
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
大井 修一 National Institute for Materials Science, 超伝導材料センター, 主任研究員 (10354292)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / アンチドット格子 / 磁束量子 / マッチング効果 / 磁束線フロー |
Research Abstract |
高温超伝導体における渦糸研究に於いて、これまで物質そのものが持つ特性に注目した研究が主流であったが、ここ数年来、我々は人為的に微細な構造を制御して導入し、渦糸物質に及ぼす影響を調べてきた。これまでの研究における微細加工プロセスの改善によって、渦糸物質の相転移を観測できるほど高品質で詳細な物性測定に適う試料ができるようになり、人工的なナノ構造を導入した高温超伝導体中の渦糸物性を明らかにすべく、アンチドットの微小化・高精度化とともに、面間伝導や微小磁化測定などへ測定物理量を広げる試みを行った。 具体的な成果として、高温超伝導体における分数マッチング効果、ピン止めされた渦糸固体の融解相転移を初めて見出した。融解転移は明瞭な抵抗のジャンプとして観察され、条件によっては一次相転移の様相を示す。相転移温度は駆動電流にも依存する点がアンチドットがないBi2212で知られていた結果と異なっており、ピン止めポテンシャルと熱揺らぎの競合が相転移の起源であることを示している。比較実験として同一試料中でアンチドットの有無による物性の違いををフロー抵抗で想定し、渦糸相図のどのように変化するかを調べ、渦糸相図の変化は概ねアンチドット中の渦糸飽和数と不可逆曲線の大小関係で議論することができることが分かった。また、相転移出現の条件には、アンチドット径やアンチドット間隔、Bi2212膜自体の膜質が関係していることが分かってきた。1μm間隔・アンチドット径100-300nmでは一次相転移が観察されるのに対して、400nm以上では相転移らしい変化は見られず、超伝導ネットワーク的な振る舞いを示した。
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[Journal Article]2009
Author(s)
福山秀敏、秋光純, 他45名
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Journal Title
超伝導ハンドブック(「微細構造超伝導体中の渦糸」セクション執筆)(朝倉書店)
Pages: 312(279-285)
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