2011 Fiscal Year Annual Research Report
格子不整合薄膜表面構造とナノ構造形成のボンドエンジニアリング
Project/Area Number |
21560032
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊藤 智徳 三重大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80314136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 亨 三重大学, 大学院・工学研究科, 助教 (40362363)
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Keywords | 半導体表面構造 / 状態図 / 格子不整合系 / ぬれ層表面 / 酸化物表面構造 / 成長機構 / ナノ構造 / 計算科学 |
Research Abstract |
前年度予備検討を行ったInAs/GaAs(001)系を対象に,InAsぬれ層表面の状態図および原子吸着を中心に,量子ドット形成との関連について理論検討を行った。またAlN/Al_2O_3系におけるAl_2O_3表面窒化,AIN層形成過程を検討し,ぬれ層表面での特異な素過程を明らかにした。概要は以下の通りである。 InAs/GaAs格子不整合系InAsぬれ層における成長過程:GaAs(001)基板上InAsぬれ層の表面構造ならびに表面上でのIn原子吸着の膜厚依存性について検討した。その結果GaAs(001)-c(4×4)α基板上でのInAsぬれ層の表面構造は,InAs膜厚0.63分子層において(2×3)構造に,1.34分子層において(2×4)α構造に変化していくことを明らかにした。これらの表面構造における成長条件下でのIn原子吸着を検討したところ,ぬれ層形成の始状態であるGaAs(001)-c(4×4)基板表面ならびに終状態であるひずみ緩和後のInAs(001)-(2×4)α表面ではln原子は吸着するものの,中間状態である(2×3)表面およびぬれ層(2×4)α表面には吸着しないことを新たに見いだした。これは,In原子がInAsぬれ層形成を先導するという従来の考え方と異なる結果であり,ひずみを内包したぬれ層における成長と量子ドットが形成されるひずみ緩和後の成長では機構が異なることを示唆している。 AlN/Al_2O_3格子不整合系Al_2O_3表面における窒化過程:Al_2O_3基板上での窒化過程ひいてはAlN形成過程について検討し,窒化条件下においてAl_2O_3表面での表面0原子の脱離に伴うN原子吸着,そのN原子と表面下の0原子の置換が一連の過程としてAl_2O_3の窒化ひいてはAIN層形成をもたらすことを見いだした。本結果は実験結果と一致しており,原子レベルからの窒化機構の理解に有為な結果と考えられる。
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Research Products
(36 results)