2011 Fiscal Year Annual Research Report
自己整合的カーボンナノチューブ成長とフィールドエミッタアレイ作製への応用
Project/Area Number |
21560033
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
佐藤 英樹 三重大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40324545)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 化学気相成長法 / CNTピラーアレイ / フィールドエミッタ / スパッタリング法 / CNT成長モルフォロジー制御 |
Research Abstract |
本年度は、カーボンナノチューブ(CNT)ピラーアレイ(FEA)のさらなる電界放出特性の向上を目的として、ガス流れの影響、ガス添加物の影響、およびμmオーダーのサイズでの触媒膜厚分布の制御が、CNTピラーからの電界放出特性に与える影響を調べた。その結果、個々のピラー単位でのCNTモルフォロジの制御性が向上できた。これにおいて、当初想定していたガス流れやガス成分制御による効果よりも、触媒膜厚制御を行うことによる効果が大きいことを確認した。また、ホール底部での触媒膜厚の分布を定量的に評価し、これとCNT成長量の間に相間があることを確認した。さらに触媒を意図的に酸化させる、触媒強制酸化処理もCNTモルフォロジ制御に有効であることが示された。以上により、ピラー上部の形状を凸型、凹型など任意の形状に制御できるようになった。 しかしながら、当初の予測に反し、これらのCNTモルフォロジ制御が必ずしも電界放出特性の向上につながっておらず、特に面内均一性に関しては十分な再現性が得られていない。これは、ピラー上部の形状がCNT分散状態の向上に適したものとなっておらず、最適形状の再検討が必要であると考えられる。一方で、ピラー上部の形状制御を行っていない、直方体形状のピラーアレイにおいて、そのサイズにより電界放出特性が向上することが判った。作製した直方体形状のピラーアレイにおける電子放出サイト分布の定量的解析を行ったところ、CNTピラーがある特定のサイズになったとき、電界放出のTurn-on電圧が最小になり、かつ電子放出サイト数が最大になることが判った。これが、どのような効果によるものかは現時点で明らかになっていないが、単位面積あたりに占めるCNT成長領域の割合がCNT成長モルフォロジに影響を与えている可能性があり、今後詳細な検討が必要である。
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