2009 Fiscal Year Annual Research Report
光励起-誘電緩和測定法の開発:光活性種の励起・脱励起過程の選択定量分析
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21560037
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
石井 真史 National Institute for Materials Science, 量子ビームセンター, 主任研究員 (90281667)
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Keywords | 光物性 / 半導体物性 / 誘電体物性 / 誘電緩和 / 希土類添加 / 電荷移動 / 発光デバイス |
Research Abstract |
本研究では、希土類添加発光デバイスにおいて発光強度を決定している励起電荷の移動過程を、新たに提案する「光励起-誘電緩和測定法」によって観測し、低次元構造の効果を定量的に評価することを狙う。材料内の電荷移動過程は従来の誘電緩和測定で評価できるが、「光励起-誘電緩和測定法」では、さらに励起光を導入し、それに同期した電荷移動過程を測定することで、光学活性種に直接関与する過程を選択的に抽出する。 本年度は、(1)「光励起-誘電緩和測定法」の装置の設計と作製を行い、Sm2O3を添加したTiO2について、紫外光照射を行いながら誘電緩和を測定する原理検証実験を開始した。(2)低次元構造を選択的に抽出する誘電緩和法手法の発明と試験を行い、特許の申請を行った。(3)ナノドット構造に局在する電子のプローブ顕微鏡による可視化を行い、かつ光照射下で振る舞いを動的に観測した。 (1)については、試料を液体窒素温度まで冷やし、かつ光照射できる誘電緩和測定用の真空セルを作製し動作確認を行った。(2)については、微細構造を持つ試料表面を非接触電極を用いて測定する手法を新たに開発し、非破壊で表面微細構造内の電荷の動的振る舞いを選択的に観測できることを証明した。(3)通常は、静的な電荷の分布を観測する静電気力プローブ顕微鏡に外部から光を導入し、それに伴う電荷の移動過程を観測できることを示した。光デバイスとして有望視されているSiGeを試料として、ドットからのホールの伝搬過程を観測した。本研究の主軸である「光励起-誘電緩和測定法」はマクロな特性を観るが、これに加えてミクロな特性の分析手法を併用することで、光照射下での電荷の移動過程の理解が強力に進められることが期待される。
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