2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560045
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
遠藤 雅守 東海大学, 理学部, 教授 (60317758)
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Keywords | 太陽光レーザー / ファイバーレーザー / エネルギー / 環境 / 色素増感 / 量子ドット |
Research Abstract |
太陽光を直接励起光源に利用する固体レーザーである「太陽光励起レーザー」がエネルギー応用を目指して研究されている.しかし一般に太陽光励起レーザーは発振に必要な利得を得るために太陽光をおよそ10,000倍に集光する必要があるため実用化が遅れている.我々は「集光せずに発振する太陽光励起レーザー」を実現する手段として色素増感と赤外線閉じこめチャンバーを組み合わせた型太陽光励起ファイバーレーザーを提案した。 昨年度はNdドープガラスファイバー(三菱電線)を110巻きのコイル状にして,45mm角の開口を持つ色素チャンバー内を貫通させた.この構成では太陽光はファイバー全長の10%程度の領域にしか照射されないが,単位長さあたり利得を計測する事は可能で,原理的に発振が可能かどうかの検証が目的の実験である.本年度は可視光で蛍光する色素(Rhodamine6g)とダイクロイックミラーを組み合わせ,太陽光の20倍の強度の白色光(セリックXC-500)を照射した.得られた利得は1.0%/m(43dB/km)で,これは固体レーザーの高効率発振に充分な水準である. 太陽光横励起および閉じ込めチャンバーの解析的シミュレーションを構築し,現状の性能が理論的に期待される水準にあるか,現状の構成のどこに問題があるかについて検討した.閉じ込めチャンバー無しでの利得は実験結果と15%未満の誤差で一致し,シミュレーションの妥当性が示された.現状の構成での問題点は励起光増強率が4.1倍と低い事で,原因は側壁反射率の低さと色素溶液の励起光波長帯における吸収であることが明らかになった.いずれも原理的な困難で無く技術的問題であるが,とくに増感剤の選定については本研究期間内に適切なものが見つからなかった点が残念である.しかし,シミュレーションにより問題の在処と解決の方向が示された点は評価できる.
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Research Products
(3 results)