2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560057
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
山口 栄雄 神奈川大学, 工学部, 教授 (20343634)
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Keywords | ペルチェ / 点接触 / 冷却 / 加熱 |
Research Abstract |
医用工学及びバイオエレクトロニクス分野では、生体細胞や微小生物など、極微小の対象物を熱的に制御・操作する技術が必要となっている。とりわけ、細胞培養などで精密な温度場を提供できる電子冷却素子(ペルチェ素子)が上記の分野では広く使われている。しかしながら、旧来のいわゆるπ型構造ペルチェ素子は、その構造上、2次元的な広がりしかもたず、対象物が微小・微細な場合の冷却には適さない。そこで、本研究では、斬新な機能を有する利便性の高い点接触型電子冷却素子構造を提案し、さらに点接触に重点を置き、人間の神経細胞やDNAを冷却・加熱による反応により制御を試みるための零次元型ペルチェ素子の開発を目的とした。以下、下記の観点から研究を行い、結果を得た。 前年度に引き続き、時定数の評価を実施した。素子の時定数(電流投入後の冷却温度速度)を計算により見積もり、i)電流が運ぶペルチェ吸熱(あるいは発熱)、ii)熱伝導、およびiii)ジュール熱の三種の量を考慮した。これにより、理論的には、冷却時に1秒、加熱時には2秒の時定数を得ることが期待できることが分かった。 上記の数値的結果を基に、実験を行った。完成した素子(50mm[素子長]×10mm[素子幅]×20mm[素子高]、針状先端径100nm~1μm)の針状先端温度の過渡特性測定から時定数を評価した。時定数1秒を目標とした(旧来型では30秒のオーダー)。その結果、再現性よく、2秒程度の時定数を冷却時には実現可能となった。加熱時は、4秒程度が得られるようになった。
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Research Products
(10 results)