2009 Fiscal Year Annual Research Report
気泡核生成制御による超音波化学反応の高効率化に関する研究
Project/Area Number |
21560060
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
辻内 亨 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 先進製造プロセス研究部門, 主任研究員 (70357515)
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Keywords | 超音波 / キャビテーション気泡 / ソノケミカル反応 / 粒子 / 音響化学発光 / 音圧波形 / 振動振幅 / 液面ゆれ |
Research Abstract |
パルス超音波と核生成サイト供給のための粒子添加を組み合わせることで超音波化学反応の高効率化を実現するとともに、今回導入したレーザ変位計により液面振動を測定し高音圧振幅下における低反応効率の機構を解明する。具体的には、超音波化学反応としてルミノール発光を用いて、アルミナ粒子添加の下でパルス波照射を行い、連続波照射との発光強度比較を種々の投入パワーで行った。同パワー範囲で液面振動振幅を計測した。その結果、パルス波、連続波ともに添加粒子のないとき、投入パワーの増大とともに発光強度は増加しピークを示した後減少した。このパルス波の場合、その減少は急激かつ顕著であり、このときの液面振動振幅は100ms程度で、照射していないときの液面位置から音波長にして4分の1であることがわかった。投入パワーをさらに高くしても液面ゆれが大きくなるだけで発光強度の回復は観られなかった。音波長の4分の1長さを越える変動は、反応に有効な共鳴定在波の音圧の腹と節の周期的構造の安定化を阻害し、高音圧振幅時の反応効率減少は液面ゆれが主因であることを解明できた。また、パルス波の場合の発光強度は比較的低パワーのとき連続波のそれより高くなることがわかった。パルス波では連続波より気泡合体が阻害され大気泡生成量は少なく、音波の散乱が相対的に抑制されるため音圧振幅が高くなるので、また有効な微細気泡数の増大が見込めるため、このような結果となったと考えられる。容器内に空間的に均一な反応場を形成するのに有効な界面活性剤添加下で気泡の存在が音圧波形に与える影響を調べた。低パワーにおいては水と比べ1mM SDSではほとんど歪まなかった。界面活性剤の電荷の反発力の作用による気泡合体の阻害から気泡径は水中のそれより微小であり、周囲液体の粘性とSDS分子の気泡-液体界面での吸着脱離によるエネルギー損失が原因であると考察した。
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Research Products
(5 results)