2009 Fiscal Year Annual Research Report
時間積分を行わない多体問題の高速汎用解析コードの開発
Project/Area Number |
21560061
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
及川 俊一 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (40152029)
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Keywords | 多体問題 / 時間積分法 / 汎用コード / GPGPU |
Research Abstract |
多体問題を解析するために通常の時間積分法を用いると、計算時間(CPU時間)は概ね粒子数の三乗に比例する。三乗のうち、二乗は粒子間力の計算に必要で、残りの一乗は時間積分にかかる時間である。この種の解析を高速化するために、これまでは粒子間力の計算を、精度をできるだけ落とさないアルゴリズム、あるいは専用ハードウエアが開発されている。本研究で提案している二体相互作用近似(Binary Interaction Approximation : BIA)では、粒子間相互作用を二体問題の重ねあわせで近似するため計算時間は原理的に粒子数の二乗でしか増えない。 本年度は、典型的な核融合プラズマ中の二次元クーロン多体問題に本近似法を適用し、計算時間が粒子数の1.9乗に比例すること(S.Oikawa et al, Plasma Fusion Res.5, S1051 (2010))を示した。比較のために行った埋め込み型(精度保証つき)ルンゲクッタ法による解析では計算時間は粒子数の2.7乗に比例する結果となった。この場合、系全体の運動の恒量である運動量、角運動量および全エネルギは、倍精度計算(有効桁数15)での有効数字で12桁の精度で保存されていた。ただし、この解析ではBIAの原理確認が目的であったため、二体相互作用の解析には、前述の埋め込み型(精度保証つき)ルンゲクッタ法を用いて時間積分を行っており、二体問題の厳密解を利用していない。 二体の厳密解を用いる(すなわち時間積分しない)手法への三次元コードへの変更および計算は終了し、その成果の一部は第19回国際土岐コンファレンス(S.Oikawa, et al., ITC-19, Toki, 2009)で発表した。
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Research Products
(7 results)