2009 Fiscal Year Annual Research Report
メニーコア時代に向けた高速・高精度固有値計算アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
21560065
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 有作 神戸大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20362288)
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Keywords | 固有値計算 / 数値計算 / アルゴリズム / 並列処理 / マルチコア / メニーコア / 誤差解析 / QR分解 |
Research Abstract |
本年度は次の2つの項目について研究を行った。 (1)マルチコアプロセッサ向け固有値計算アルゴリズムの実装と性能評価 メニーコア向けアルゴリズムの準備として、4~8個のコアを有するマルチコアプロセッサ向けに、対称密行列固有値計算のアルコリズムを実装し、性能評価を行った。本アルゴリズムは演算のほとんどをlevel-3 BLAS(行列乗算)で行うことができるため、マルチコアプロセッサにおけるメモリアクセス競合の影響を受けにくく、従来のアルゴリズムに比べて性能向上を達成しやすいと予想される。Intel Xeonを搭載した8コアサーバ、及びAMD Opteronを搭載した6コアサーバで評価の結果、本アルゴリズムは従来のLAPACKに比べて最大2倍の性能を達成できることが示された。一方、コア数を増やした場合に、前処理に当たる帯行列化の部分が性能ネックになることも判明し、今後コア数を増やした場合の課題が明らかとなった。 (2)AllReduce型ハウスホルダーQR分解法の誤差解析 Level-3nLAS型の対称密行列固有値計算では、QR分解が計算の部品として重要な役割を果たす。このQR分解は、精度の観点から、ハウスホルダー法を用いて行う必要があるが、従来のハウスホルダー法は並列粒度が小さく、コア数を増やした場合の性能ネックになることが予想されている。これに対し、2007年にAllReduce型と呼ばれる新しい大粒度のハワスホルターQR分解の手法が提案されている。そこで、この手法に対して理論誤差解析を行った。その結果、この手法は従来のハウスホルダーQR分解と同等以上の精度を持つことを明らかにした。今後は、この手法を対称密行列固有値計算のプログラムに組み込む予定である。
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Research Products
(6 results)