2010 Fiscal Year Annual Research Report
メニーコア時代に向けた高速・高精度固有値計算アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
21560065
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 有作 神戸大学, 大学院・システム情報学研究科, 教授 (20362288)
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Keywords | 固有値計算 / 数値計算 / アルゴリズム / 並列処理 / マルチコア / メニーコア / 誤差解析 / 直交化 |
Research Abstract |
本年度は次の2つの項目について研究を行った。 (1)帯ヘッセンベルグ行列向けの高精度固有値計算アルゴリズムの開発 メニーコア向けの固有値計算アルゴリズムでは,入力の密行列をまず帯行列に変換するため,帯行列の固有値計算法が重要である。本年度は,帯行列の特殊な場合である帯ヘッセンベルグ行列に対する固有値計算法を開発した。本手法は,行列がtotally nonnegtiveという性質を持つ場合には必ず収束し,かつ,全固有値を小さい相対誤差で計算できるという特徴を持つ。また,本手法の収束を加速するための原点シフトの導入法も提案した。今後,本手法を一般の帯行列に対して拡張する予定である。 (2)高い並列性を持つベクトル逐次添加型直交化アルゴリズムの開発 逆反復法による固有ベクトルの計算では,固有値が密集する場合,固有ベクトルの直交化という処理が必要である。また,最新のMR3アルゴリズムにおいても,固有値間の相対ギャップが小さい場合には,直交化が必要になることがある。これらの直交化は,従来,修正グラム・シュミット法を用いて行われてきたが,直交精度が十分でなく,また計算が逐次的であるという問題点があった。これに対して本研究では,コンパクトWY表現という技法を用いることにより,高い直交精度を持ち,かつ並列化可能な直交化手法を開発した。また,本手法を逆反復法による固有ベクトル計算に適用し,有効性を確認した。
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