2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560072
|
Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
速水 謙 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (20251358)
|
Keywords | 最小二乗問題 / 反復解法 / 前処理 / クリロフ部分空間法 / 内部反復 / 逆問題 / 薬物動態モデル / パラメタ推定 |
Research Abstract |
(1)内部反復による前処理を用いた最小二乗問題の反復解法の開発 内部反復による前処理を用いたクリロフ部分空間反復解法を提案し、その有効性を検証した。具体的には、NR-SOR法やCimmino法といった、最小二乗問題のための定常反復法を前処理として、一般化残差最小化法(GMRES法)の右前処理または左前処理として用いる手法である。まず、提案手法の理論的な妥当性や性質を導いた。次に、手法の有効性を大規模、悪条件、ランク落ちを含めた優決定の最小二乗問題に対する数値実験により検証した結果、従来法より顕著に優れていることを確認した。成果を国際学会で発表し(招待講演も含む)、英論文誌に投稿した。 さらに、劣決定の最小二乗問題に対しても提案手法を適用する方法を考案し、その有効性や理論的な性質に関する初期的な成果を得た。 (2)劣決定逆問題の解法の開発 薬物動態モデルにおけるパラメタ推定などで生じる、非線形常微分方程式系のパラメタを測定結果(出力)から同定する劣決定の逆問題に対する解法を開発し、その有効性を検証した。同手法は、まず順問題の関数をパラメタの初期推定値の集合の近傍で優決定の最小二乗法を用いて線形化する。次に、得られた劣決定の最小二乗問題に対して、前回の解(パラメタの推定値)に一番近い解を求める。これを繰り返すことにより、制約の範囲で複数のパラメタ推定値を得る。数値実験の結果、従来手法より遙かに高速に有用な解集合を得られることを確認した。成果を英論文にまとめているところである。
|