2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560073
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
栗原 一嘉 University of Fukui, 教育地域科学部, 准教授 (20270704)
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Keywords | 表面プラズモン / 超集束 / スーパーフォーカシング / ナノフォーカシング / プラズモニクス / 変数分離 / 金属テーパー構造 / 金属導波路 |
Research Abstract |
金属表面を伝搬する表面プラズモンは、金属テーパー構造の先端へ向かって伝搬すると、伝搬速度が段々と遅くなり、先端では伝搬速度が零になる。これは、先端に近づくにつれて、表面プラズモンの波長が小さくなるためで、限りなく狭い空間に光エネルギーを閉じ込めることができることから、スーパーフォーカシング(Superfocusing)と呼ばれている。このスーパーフォーカシングという用語は、1997年のNerkararyanの論文タイトルに由来しており、日本語としては、超集束の言葉を当てて訳される。 この表面プラズモンにおける超集束は、コンピュータによる数値解析が精力的に進められる一方で、数理解析では、変数分離近似や幾何光学近似で超集束の理論が構築されてきたが、近似の精度が低く、実験を定量的に説明するには、不十分であった。本研究では、新しい数理解析の方法として、準変数分離法と名付けた、不完全に変数分離する方法を提案し、今までよりも近似の精度が高い解析解を求め、実験を定量的に説明することを目指している。 これまで、新しく提案した準変数分離法により、円錐と楔の構造を検討してきたが、本年度からは、金属テーパー構造のテーパー角度やテーパー先端曲率を考慮できる構造の検討を開始した。本年度は、テーパー先端曲率だけを考慮した放物体の構造を検討した。その主な結果は、(1)放物体の構造では超集束が起こらないということ、特に、(2)金属放物体の構造では表面プラズモンが伝搬するモードも存在しないということ、そして、(3)空洞放物体の構造には表面プラズモンが伝搬するモードが存在するということである。金属テーパー構造においてテーパー先端曲率を考慮した理論的な研究は、本報告が初めてであり、超集束の理論研究で準変数分離法が強力な数理解析法であることが改めて確認された。
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Research Products
(5 results)