2011 Fiscal Year Annual Research Report
3放射線の相補利用による浸炭焼入鋼の残留応力測定法の開発
Project/Area Number |
21560087
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
坂井田 喜久 静岡大学, 工学部, 教授 (10334955)
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 浸炭焼入 / 残留応力 / 放射線・X線 / 中性子 |
Research Abstract |
クロムモリブデン鋼の浸炭ブロックから厚さ0.3mmの薄板試験片を切出し,薄板に負荷した曲げ荷重と縦ひずみの関係から浸炭層の弾性率を測定する方法を検討した.その結果,薄板試験片に曲げ荷重を負荷すると,試験片の厚みに対してゲージ箔の厚みが無視できないため,ひずみゲージの抵抗線と試料表面の距離が縦ひずみの計測値に影響を及ぼすことがわかった.そこで,抵抗線と試料表面の距離を計測して薄板表面のひずみ量を見積った結果,浸炭層の弾性率は出発材料の弾性率とは異なり,浸炭による炭素濃度の増加とともに上昇することを明らかにしたが,浸炭層より深い内部の弾性率も出発材料の弾性率とは異なる値を示した.また,薄板試験片に一定の曲げ応力を負荷した状態でX線応力測定を行い,鉄211回折のX線的弾性定数を実測し.3放射線で応力測定する際に必要な回折面弾性定数と炭素濃度の関係を実験的に明らかにすることができた. 一方,クロムモリブデン鋼の円筒試験片を浸炭焼入し,浸炭層の炭素濃度に対する回折面間隔変化と内部の回折面間隔を3放射線の相補利用により実測するとともに,X線応力測定と中性子線によるひずみスキャニングを併用して半径,円周,軸の垂直ひずみ成分に分離して浸炭焼入による円筒試験片内部の残留応力場を実験的に明らかにした.また,弾塑性有限要素法を用いて浸炭焼入シミュレーションを行い,加熱,浸炭拡散,焼入の3工程での応力場を解析し,浸炭焼入後の残留ひずみ分布を算出して実験結果と比較した.その結果,浸炭焼入後の垂直ひずみ成分の解析値と実験値は良い一致を示し,熱処理工程中の応力変化の特徴とその絶対値は弾塑性有限要素法で解析可能で,浸炭焼入後の残留応力は3放射線の相補利用によりその全貌を実測できることを示すことができた.
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Research Products
(6 results)