2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560088
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 英一 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00111831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 創太 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (80293653)
水野 幸治 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (80335075)
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Keywords | 生体力学 / ヒッププロテクタ / 試験法 / 骨折評価基準 |
Research Abstract |
この研究は,転倒による大腿骨頸部骨折の予防装具である、ヒッププロテクタの有効性評価方法を確立することを目的とする。昨年度,全身各部の集中質量を剛体で結合したモデルと精密な大腿部有限要素モデルとを組み合わせた簡易全身モデルに様々なプロテクタを装着して転倒シミュレーションを行い、プロテクタ厚さ,プロテクタに設けた穴の大きさ,位置,数,プロテクタ材料が骨折防止効果に及ぼす影響を検討した。それと同時に、転倒時に作用する境界条件をより忠実に反映する,マルチボディ-大腿部有限要素複合モデルの改良モデルを作成し、従来モデルよりも格段に精度が向上することを明らかにした。 今年度はこの改良モデルを用い、種々のヒッププロテクタを装着して,歩行時に生じうる種々の転倒条件を再現するシミュレーションを行った。そして簡易全身モデルの解析結果の妥当性を検証するとともに、プロテクタ評価の基準となり得る最も危険な転倒条件の抽出を試みた。その結果、マルチボディ-大腿部有限要素改良モデルを用いた場合、簡易全身モデルに比べて応力値が大幅に下がり、骨折を生じる場合は極めて限られること、従って健常人では骨折はほとんど生じず、骨粗鬆症等による骨強度の低下を考慮することが重要であることがわかった。またプロテクタによる骨折防止効果も簡易全身モデルの結果から予想するよりも小さいという結果を得た。 以上の解析結果を忠実に再現でき、かつ簡便に評価できるプロテクタ評価システムの構築を試みた。加速度計、ロードセル、動ひずみ計等を用い、人造骨に転倒を模擬した衝撃荷重を負荷して、各種出力を評価する予備実験を実施した。次年度は、このシステムの改良に取り組み、評価システムを完成させる。
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